東京防衛航空宇宙時評

空挺・島嶼防衛作戦に有用な21世紀の「ジープ」ATV(その4)

イギリス陸軍に戦時採用された「スプリンガー」

イギリス陸軍に戦時採用された「スプリンガー」

イギリスのESP(Enhanced Protection Systems)UK社が開発した軽量バギー「スプリンガー」は、アフガニスタンで使用するためにイギリス陸軍に、LSV(Light Strike Vehicle)として採用され、2009年に調達が開始された。

スプリンガーは乾燥重量850kg、パワープラントには1400ccのディーゼル・エンジンを採用している。乗員は1名ないし2名で、後部の荷台には1.4tの貨物の積載が可能。2.7tの牽引力を持つ。ルーフにはIED(即製爆発装置)を妨害するためのジャマー、助手席には7.62mm機銃のピントル・マウントがそれぞれ装備されている。

イギリス国防省はスプリンガーと同時期に、ヤマハのATV、グリズリーとトレーラーも採用した。これはそれまで使用されていたホンダ450後継するものでで、421ccのエンジンを搭載した民間用グリズリーATV(All Terrain Vehicle )450IRSに改良を加え、ロジック社のSMT171bトレーラーと組み合わせたシステムだ。

これらは主に小隊・分隊レベルで、60mm迫撃砲や弾薬の運搬に使用することを目的としており、2009年に200セットが5万ポンド(当時約7.5億円)で発注された。

イギリス軍に採用されたグリズリーベースのATVとトレーラー

イギリス軍に採用されたグリズリーベースのATVとトレーラー

民間用のATVはヤマハのみならず、カワサキやホンダ、スズキも商品ラインナップに加え、海外で広く販売されているが、日本国内では道路運送車両法などの法規規制の関係から、ほとんど普及していない。
ATVはエンジンやサスペンションなど、ほとんどのコンポーネントが世界の市場で入手可能であり、町の自動車整備工場レベルの設備でも開発が可能だ。このため途上国でも日本製を含めた民間用ATVに改造を施して、軍用車輌としている事例がある。

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