東京防衛航空宇宙時評

三菱重工業、DSEIで水陸両用車の新情報を公表

三菱重工業が出展した水陸両用車「MAV」の模型

 

9 月12日から15日までロンドン郊外のエクセル展示会場で開催された軍事・セキュリティ見本市、DSEI(Defence and Security Equipment International)に、防衛省の防衛装備庁、防衛技術協会、三菱重工業など民間企業9社が出展。三菱重工は自社資金で開発中の水陸両用装甲車MAV (Mitsubishi  Amphibious Vehicle)関連の展示を行なった。

MAVの車体サイズはAAV7、全幅は10式戦車同程度で、車体はアルミ合金を使用している。
パワープラントは3,000馬力のディーゼルエンジンの計画を予定しており、通常の同馬力のエンジンではサイズが大きすぎるため、新型のコンパクトなエンジン「12MB」の開発が進められている。開発は既にほぼ完了しており、大きさは馬力が同程度の既存エンジンに比べて、7分の1程度になっているという。

MAV用に開発が進められているディーゼルエンジン「12MB」の模型

今回のDSEIではMAVへの採用を想定して開発が進められている、世界初の統合油気圧式サスペンション、「テラニンジャ」も公開されている。トーションバー方式のサスペンションは車内を貫通するバーを組み込む必要があり、車体底部の容積や重量が増加するが、油気圧式のサスペンションは内部の空間を消費しないので、車体をよりコンパクトに設計できるメリットがある。

通常の油気圧サスペンションでは、車体内部側にスフェアやシリンダーなどの油気圧調整コンポーネントが収容されるのに対して、テラニンジャはサスペンション・アームに油気圧調整コンポーネントが統合されている。このため車内の容積を消費せず、従来製品より軽量でかつ整備が容易であり、車体部の加工が最小で済むなといったメリットがある。
このサスペンションを採用することで、MAVは水上航行時に車輪や履帯を車体近くまで低くすることが可能となっており、水上航行時の抵抗を大きく低減できるという。また同社は既存車輌の近代化などの用途も見込んでいる。

統合油気圧サスペンション「テラニンジャ」

また三菱重工業はコンパクトで軽量、高出力の装軌車輌用のディーゼルエンジン8MA(800kw)、装輪式装甲車両の4MA(400kw)の展示を行ったほか、今回展示はされなかったが画期的な軽量の底面装甲システムの開発に成功しているという。

三菱重工業はこのほか、NTTコミュニケーションズと提携して開発を進めている、発電所や艦艇などのサイバーセキュリティシステムに関する展示も行っている。このシステムは護衛艦などの場合、サイバーセキュリティ攻撃を受けても継戦能力を、発電所の場合は発電能力を完璧ではないにせよ、維持できることを目的としている。

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